2011年7月21日木曜日

7月20日 『奥会津の魅力・人の魅力』 『森を知る・人を知る』

2011年7月20日『奥会津の魅力・人の魅力』『森を知る・人を知る』奥会津大学第~自然1・2
講師:新国 勇氏 in ブナと川のミュージアム,布沢“癒しの森”(FW)

(2006/3/4 朝日新聞 )国際自然保護連合(IUCN)の委員で世界遺産の候補地として奥会津のブナ林を調査した、河野昭一・京都大名誉教授(植物生態学)は「奥会津のブナ林は、原生林に極めて近い状態で広大に残っており、世界的にも極めて貴重だ。指定地域になることは意義深い」と話している。





福島県の【金山町、只見町、檜枝岐村、旧伊南村、旧舘岩村】にまたがる一体の国有林83,573ヘクタールが、『原生林』そして『将来にわたって保護すべき森林』として、林野庁から平成19年4月に「奥会津森林生態系保護地域」の指定を受けた。これは国内最大級の森林保護地帯である。(世界自然遺産の白神山地、屋久島、知床をはるかに上回る規模。)この地域は、森林生態系保護地域のほか、自然公園の国立、国定、県立と二重にも三重にも指定を受けている。国内どころか、世界的に見ても重要な「自然度」が濃密な地域だ。

新国氏のお話は、時間の経つを忘れさせ、頭の中に、雪の残る深山の岩場を悠然と歩くニホンカモシカが生き始め、尾根を伝うキタゴヨウの上空をクマタカやイヌワシが旋回して行きます。

(森林帯で人里近くで見られる雪食地形は世界でここだけだそうです。)


 
ここに住んでいると何気なく見なれた地形、「いつもの景色」が、充分に世界遺産に匹敵する素晴らしい景色なのだと改めて思い知らされます。

・・・ずっと昔のコトですが、CW・ニコル氏の本で『森だって林だって人間が(下草刈り等の)手を加えなければダメになってしまうんだ。どうして日本人は山を放ったらかしているのか?』という一文に出会い、かなりのショックを受けたコトを鮮明に覚えているのですが、本日の講座+フィールドワークで、人間が手をつけない“原生”の森林は2000年位は優に「安定している森」であるとお聞きして、「じゃあ、CWニコルさんが宣わったのはなんだったのか? と、家に帰ってから調べましたら・・ヨーロッパの森は、中世以降、既に人の手が入っていて、そのせいかどうか、西欧の方々は多く「手つかずの自然は存在しない/荒れるに決まっている」という、大自然性悪説に偏りがちなんだそうです。(狩猟民族だったご先祖は、動物ばかりでなく、植物、山々、に対しても狩猟をしていたのでしょうか?・・)・・・ま、それはそうとして、つまり、本当に【世界遺産クラスの大自然とその生態系の仕組み】それから【生物多様性(生態系/種/遺伝子の多様性)】が、ちゃぁんと残っている、この奥会津を、日本人みーんなが、すごく誇りに思っていいんだ!と、胸張ってそう言いふらしたい気持ちになるのでした。

新国先生、ありがとうございました。森のブナ、木の葉、木の実、たくさんの事を教えてくれてありがとう!

2011年7月6日水曜日

7月6日 午後 『「聞き書き」の意義と基本的な方法』 

7月6日は、午前中の安ヶ平義彦氏の『案内人の基本講座』に引き続き、
午後からはコミュニティリーダー養成・起業術コース、奥会津書房 代表・遠藤由美子氏による『聞き書き』の心と、その方法、さらには、自分で本を作ることができるようになる!「和綴じ」のワークショップです。

奥会津に長年住んでいて、遠藤由美子氏を知らない方はモグリでしょう!?・・という位、色々なところで御活躍されています。7月28日の講座「地元学1+2」の講師をお引受け戴いた菅家博昭氏が代表をされておられる【会津学研究会】も、遠藤氏が主催する奥会津書房が事務局となっておられます。

前回の6月30日の講師・澁澤寿一氏が副理事長を努める共存の森ネットワークが主催する、森の聞き書き甲子園』のHPに掲げられた言葉があります。
「聞き書き」とは、話し手の言葉を録音し、一字一句すべてを書き起こして、文章にまとめる手法です。仕上がった文章からは、話し手の語り口や人柄が浮かび上がります。この「聞き書き」を通して(聞き手は)名人の持つ知恵や技、その生きざまやものの考え方を学び、受けとめます。

そして、遠藤由美子氏は、別の視点からも『聞き書き』の素晴らしさを伝えて下さいました。
・・いつもは、お互いがなんとなく同じ家に住んでいても<ちょっと違う>世界を見ているかのような、爺さま・婆さま、に、孫が1枚の写真を片手に『ねえ?、この写真いつの?」「誰?」「…じゃあ、これなぁに?」と問いかけることで、爺さまや婆さまの皺くちゃな口元から、ディズニー顔負けの<ワンダーランド>が次から次へと飛び出してくる・・背中を丸めた耳の遠い爺さまの皮膚の下にはこんなに熱い人生がぎっしりと詰まっていたことを、初めて孫たちが知る。その、お互いのよろこび。・・語り終えた爺婆が『ありがとう』と孫に言うこと。孫世代は圧倒的に『爺・婆がこんなに苦労してきたんだと知った。いつまでも長生きしてほしいと思う』という感想を書き残すことなどを、具体的な例や、朗読を交えてお話し頂きました。

受講生の中には、浜通り地方からの避難中の方も数名いらっしゃいます。その中のお一人が、「今、避難所にいる方のそれぞれのこれまでの人生を、一人一人聞き書きして残しておきたい」との受講後の感想に仰有って、震災で家も職場も、住み続けた地域のコミュニティも喪われた方の、悲しみの重さがドスンと伝わった気がしました。

7月6日 「案内人の基本講座」 

平成23年度 第Ⅱ期・奥会津大学・奥会津案内人養成コースが開校しました。

奥会津案内人養成コース第Ⅱ期・初日は、安ヶ平義彦氏による『案内人の基本講座』でした。

講師は、実行委員でもある安ヶ平義彦氏です。
安ヶ平氏は、32歳で南会津町たていわに移住され、ペンションを経営される傍ら、森林インストラクターとして(CORNインストラクター等など、たくさんのカタガキお持ちで、チト覚えきれません…(^0^;) )活躍してこられたベテランの「ガイド」です。

今回の講座では、『基本の基本の基本』と本人が仰有るところを押さえる講座+経験談も織りこまれて、受講生の皆さんも充分に“ガイドする”ことの幅広さと奥の深さを予感された様子でした。
講座中の写真集はコチラでご覧頂けます→Picasaウェブアルバム奥会津大学事務局 一般公開ギャラリー

さて、奥会津大学 では、何故?「奥会津案内人養成コース」を開講しているか?というと・・、
奥会津が広すぎて、山々が深過ぎて、植物や動物やキノコたちがいっぱい生き過ぎて、そして、歴史がありすぎて、文化も奥が深すぎて・・要するに、「凄いっ!」コトがいっぱいありすぎるからなんですね。

・・例えば、です。本日の講師、安ヶ平義彦氏は(最近ではペンション経営そっちのけで!?!、京都議定書関連の“地球温暖化”に関する森林調査を続けておられるのですが、、)一言で「森林」と言ってしまっても何も伝わらない…、「森」「林」って、どんな色?どんな形?どんな風になってるの?どんな歴史、どんな未来を?・・なんてことを、ちゃんと“理解”しないと、人に“説明なんかできないじゃん!”とか言ったりすると、“人の一生”が将に光陰矢のごとし…になっちゃう位、相手がデカイ…まして“奥会津”は、広大な面積、多様な文化・・・なので、ウカツに『奥会津ってこんなとこです』とは、誰にも言えなくなっちゃう。。

・・・専門的な知識を詰め込む、とか、研究者の目で探求し始めたら、10回ぐらいは輪廻転生してこないと語れないかもしれないけど、あなたの家に「友が遠方より来たル有り」の時に、『へぇ、人間って凄いんだね。祖先たちって、ガッツあったねぇ~!』って感心してくれて、『会津にはまだそういう場所や文化や、意識がいっぱい残ってるんだね。大切にしないとだネ。』って言わせちゃう!!くらいの…つまりは、人間の1回の人生の長さで間に合うくらいの“知識”とか“感動”のツボやなんかを“私から、あなたへ”伝える…そんな大きさで、波紋の和を広げることはできるんじゃないか・・、と、そーゆー構想なのであります(と、思います by 事務局)。

次回奥会津大学・奥会津案内人養成コースは、7月20日、新国勇氏の講座&フィールドワーク 『奥会津の魅力・人の魅力』『森を知る・人を知る』in ただみブナと川のミュージアムです。奮って御参加下さい。